ピアノ協奏曲「舞台裏」見せます!
準備・リハーサル(フランク 交響的変奏曲)
1.自宅練習 最終仕上げ(1か月前〜1週間前)
1)録音してチェック
・ピアノだけの聴かせどころ 芝居っ気たっぷり「マ」を作る
・弦はじくpizzicato「はまる」よう ピアノパート弾いている?
・和音や弓の変わる時 折り目正しい?
・受け渡す時 相手出やすいか?

フランク:交響的変奏曲
ピアノ独奏とは、勝手が違う!
舞台では 近くのヴァイオリン大きく聴こえるが、客席では 全体像聴こえる。

フランク 交響的変奏曲21〜23小節
・木管楽器支えている。客席に聴こえるのは ピアノ右手のみ
中低音の煙幕を張っているようだ
・右手 暖かく神秘的な音色と調性感で。湧き上がるように弾く。
オーケストラと一体となれるタイミング。
・和音変わる22小節目 ボール紙折り目くらい 折り目正しく。
(はしょって 突っ走ると「ずれた 自分勝手な」演奏に聴こえる)
・23小節 弦楽器へのつながりイメージ。2拍目タッチとタイミング
単音を思い通りに弾くには練習が必要!
弾き終わり ゆっくりする癖は有害、むしろ押し込む

2)メトロノーム使ってテンポ固定/テンポ変わる部分取り出して練習

3)オーケストラ「からみ」再確認
・スロー再生みたいに ゆっくり弾く

フランク 交響的変奏曲には 異なるメロディー同時演奏する
感動的な部分がある。
音程の協和、不協和、和音の味 感じて
・オーケストラ旋律 口ずさみながらピアノパート弾く
ピアニストが対旋律 背景弾く部分多い。
最後の1〜2週間オーケストラの音 ピアノで弾かないように
ピアノ独奏と違った方向に手が動いてしまうから。そのかわり↓


4)CDかけて ピアノパート弾く(協奏曲練習には役立つ)
・休みに入ったら 次に弾き始める鍵盤 両手分 目でねらいつける
(休みと待ち方の練習 重要!)
・部屋うす暗くして 鍵盤あまり見なくても 弾けるように

(音の聴き方も鋭くなる)
・えんび服上着だけ着る(両手交差させる時 袖の分だけ手を上げる)
女性も「本番の袖・靴」に慣らしておく

5)練習時間取れても「腹八分目」で切り上げる(協奏曲は腕疲れさせる)
2.指揮者と打ち合わせ(1週間前)
・ピアニストのテンポ 聴いてもらう
・指揮者がテンポを作る部分 確認
・ゆっくり部分 神秘的に、対話の味あるように、のアドバイス頂く

最後1週間 まずい場所修正&演奏を体で覚えて固める

3.リハーサル
・30分前には着く
(ぎりぎりに着いたら マネージャー あちこち電話してた!)
・練習番号確認…必要なら自分の楽譜に書く
オーケストラのパート譜 小節数なし・アルファベットだけ。
休憩時間に 5分かけて書きこんだ。
4.リハーサルを客席録音 聴いてみて
1)バランスは良いか?
ピアニストが一体感なし。大きな音で「ギラギラ」多かった…修正。
フランク楽譜ppなら その通りでよかった。
主旋律弾いてる楽器にバランス合わせる。
2)遠くに座っている楽器(木管楽器 チェロ)聴こえにくい
チェロ主役の部分多い。遠く 聴きとりにくく 目立たない音色。
ピアノパートは音色脇役・対旋律。
(なんとかしたけれど 目分量)
3)オーケストラの「マ」で弾く
小節線上セパレートして 弾く場所 発見。
ピアニスト盛り上がると突進するが、オーケストラ盛り上がると厚くなる。
弁当箱に おかずとご飯ぎゅぎゅう詰め…ピアニスト
弁当箱に厚く高く てんこ盛り…オーケストラ
小節線ですきま作ったり、すきまの幅調節、オーケストラに合わせる。
4)ピアノ独奏ならではの音色美 キャラクター変化を
本番ピアノで試しておく
5.当日
協奏曲の演奏会はあわただしい。お客さんが会場に入ってきても、調律の浅野健さんは舞台奥で黙々と
当日会場で練習できるのは 20分程度。
(スケジュールに余裕ある協奏曲演奏会でも50分程度)
当日、ステージ上の ピアノが 使えたのは
リハーサル後〜客入れまでの20分程度。
前日リハ後、夜8時から40分間練習。

・楽屋で当日リハ録音を聴き、ポイントの音 確認、30分間ポカーン…
(いいこと思いついても、この段階で「演奏を変える」ことはしない)
・メンバーやスタッフと楽屋ですれ違えば、廊下で挨拶。
トイレで一声「よろしく」と こちらから軽く声をかける。
・本番でピアノに向かう時「一緒にがんばろう、よろしく、ありがとう」
オーラを目と顔と全身から、オーケストラ全体に発散して歩いていく…
YouTube交響的変奏曲夢藤演奏ご覧頂けます
6.指揮者田中瑞穂先生 第1回リハーサル
指揮 田中瑞穂
フランク 交響的変奏曲は 私には感慨深い曲でしてね。
僕が高校生の時 この曲好きで好きでしょうがなかった。
(「ませているなあ」という顔で オーケストラ笑い)
ただ、曲の意味がわからなかった。

僕がやっと50歳くらいになった時 曲の意味がわかった。
フランクは子供のころ教会に行ったら「君は音楽家に なりなさい」
と神の声を聞いたに違いない…
皆さんは 気が ついてないけれど、君達も50か60になった時(笑)
「若いころ そういう声聞こえたなあ」と思い出すこと
あるかもしれないよ。

フランクは老年期になって 自分の人生感じながら、
この曲を作ったと思うんだ。曲のはじめは「神の声」なんだから
「おごそかに 威厳をもって」…(リハーサル始まる)

(終わりまで演奏して)ものすごく良い曲だ!味があるねえ!
そろそろリハーサルが終わる時間だが…
大好きな曲、もっともっと指揮したくて…
もう1回通そうか?
(全員「えっ」ていう顔…声にならない苦笑い)
じゃあ、曲の始めだけ練習しよう…
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