ルバート演奏法・ポイント
ルバート演奏法 フレーズクライマックス

 ショパン長いメロディーの緩急 <>テンポ変化?
ルバート演奏法
メロディーに緩急あれば タイミング配分が不均等になります。
「定規の目盛りに当てはまらない」変化には 3種類。

1)「長めに」弾いて 強調
「表情付ける音」が長め(その他の音は さっと進む)

ショパン ノクターン作品15の2(You Tube)音形変われば長めも変化


2)ゆるめて 柔らかく
ピンと張った糸をゆるめて 少したわませる

シューマン トロイメライ(You Tube)ピアニストによって全然違う


3)4小節、8小節のフレーズ全体に 緩急
太い小節線(→矢の部分)ルバートの終わり
シューマン ピアノソナタ2番第4楽章(You Tube13分半)自然に聴こえる


ルバートの注意点は
「ルバート終わる場所」見つける→の終わり・太い小節線


緩急あっても合計は変わらないよう努力(帳尻を合わせる)

ドビュッシー レントより遅く(You Tube)ルバート極端

または「ゆっくり+先に進む傾向」
合計延びてしまうけれど、むしろこちらの場合が多い

説明通りの演奏なんてありません。演奏者で違いが大きいです。
これが 演奏の面白さなのでしょう。
Tobias Matthay の著書 Musical Interpretation (1913年)から
譜例を使わせて頂きました。
フレーズ・クライマックス
メロディー見通して弾くのは大切…
メロディーは「先に進む」
フレーズ途中 最後に「きめどころ」(出始めじゃない!)

(a)(b)(c)はフレーズ・クライマックス
昔の翻訳本だと「主要な重い拍」(意訳ですね)


フレーズクライマックス重視するため
小節線bを 1拍めと みなしたいと提案
(そこまで大胆に変えたくないですが)

ルバートにも きめどころ あり
楽譜本来の小節線より 緩急きめどころ感じて弾く

(きめどころ=フレーズクライマックスを
「到達点」と訳した方が 自分には しっくり)

Tobias Matthay Musical Interpretation 1913年
から 要約して 譜例引用させて頂きました。
ショパン 長いメロディーの緩急
メロディーの緩急(ルバート)を説明した
譜例に コメントしてみます。
Matthayの本 Musical Interpretation から
譜例を引用させて頂きました。

ショパン バラード3番

流動的な曲なので、小節の中に緩と急。
コルトー1929年演奏 YouTube のように
緩急大げさでなくて よいけど、
123456と四角四面に数えて弾くのは
曲に合ってないと思う。

ショパン ソナタ2番 第1楽章第2主題(0分55秒)

前半
形が定まっている・後半動きあり…
この譜例を見た時、視界が開けました。
コルトー1933年演奏 YouTube は
伴奏のからみ方、盛り上げ方が「芸術」。
緩急無理やりつけても、体に充分なじませて
練習積み重ねないと 本番で左手つっかえる。

ショパン バラード1番 第2主題(3分0秒)


メロディーは 動き錯綜、伴奏の省略多い。
音符単純でも 音楽的に弾くのは難しい。
鬼才ホロヴィッツ 1947年演奏 YouTube

ショパン スケルツォ2番 第2主題(0分40秒)

Matthayの生徒シャラ―演奏 YouTube
微妙に 師匠の説明通りでない部分も あり。
ルバートは 弾き手の感じ方で 変わってくるのでしょう。

ここで シフの本「静寂から音楽が生まれる」
171頁から ルバート小咄…
シフ 20歳台「私はどう弾くべきなのでしょうか?
私は いくぶん自由に ルバートに弾くのが好みなんです。」

ホルショフスキ 80歳台「私たちはみんな、
自分自身のルバートが 好きなのですよ。
他人のルバートは まったく好みでないのにね。」
< >は テンポ変化?
だんだん強く、だんだん弱く は
強弱記号と かたく信じていました。
でも、ショパンとブラームスで「テンポ変化では?」
提案する本、最近2冊読みました。
 セイモア・バーンスタイン ショパンの音楽記号 クライブ・ブラウン ブラームスを演奏する 音楽之友社
「ショパンの音楽記号」セイモア・バーンスタイン(Amazon)
ショパンのペダル記号との演奏法考えてみる)
「ブラームスを演奏する」クライブ・ブラウン他(Amazon)
ブラームスと付き合いのあった昔の演奏家の演奏スタイル

ふに落ちない無視で練習したこと あります。
ショパン 英雄ポロネーズ(音量変化せわしない)

ブラームス 76の2(だんだん小さく直後に だんだん小さく?)

自分の感覚ですが
ショパンでは「メロディの表情づけ」
強弱変化・音色やタイミング変化・強調(ルバート)の どれか
ブラームスでは「フレーズ表現」
高まる、静まる、<>集まる

が強弱でない」と感じたら「メロディを形作る」のかも。
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